オメガ豊富な菜種油は品質に注意しないと危険!国産のものは大丈夫?
クセがなく料理やお菓子などさまざまな使い方ができる菜種油。
生活習慣病予防に効果的なオメガ脂肪酸も豊富に含んでいることから、健康に気を使いたい人にもおすすめです。
しかし、菜種油は体に悪い油と言われることもあります。安全な菜種油を選べるように、菜種油の特徴や体に悪いと言われる原因、どんな菜種油がいいのかを知っておきましょう。
Contents
菜種油は何から作られている油なの?
菜種油の原料や特徴について解説します。
お菓子やお総菜の揚げ物にもよく使われている
菜種(なたね)油は、アブラナ科のセイヨウアブラナの種子から作られている食用油です。
食品加工用の油としてお菓子やお惣菜の揚げ物、ドレッシングやマヨネーズなどにも幅広く使われています。
食用油の中には「サラダ油」がありますが、サラダ油はサラダのドレッシングに使えるように作られた食用油です。
この原料には大豆やひまわり、とうもろこしなどの植物油が使用されますが、菜種もそのひとつです。
菜種油とキャノーラ油は同じもの?
同じ菜種を原料にしたキャノーラ油。
菜種油との違いやメリット・デメリットを紹介します。
品種改良した菜種を使ったキャノーラ油
キャノーラ油は、カナダ産のキャノーラ品種の菜種を原料に作られた食用油です。
同じ菜種を使っていますが、キャノーラ品種は菜種に含まれている有害物質を含まないように品種改良したもの。
菜種油と同じ意味で使われることもありますが、厳密には菜種油とは違うものになります。
キャノーラ油のメリット
キャノーラ油は価格が安く、スーパーなどでもいろいろな商品が販売されているため手に入れやすい食用油です。
くせもなくどんな料理にも合わせやすいので、日常的に使う食用油として便利です。
菜種に含まれている「グルコシノレート」と「エルカ酸(エルシン酸)」は、体に悪影響を及ぼす物質とされていますが、キャノーラ油はこの物質をほとんど含まないように改良されています。
植物油に含まれるオレイン酸も多いことから、酸化しにくいのもメリットと言えますね。
キャノーラ油のデメリット
カナダでは多くの菜種が遺伝子組み換えで作られています。
遺伝子を組み換えることで食品の味を良くする、成分を増減させる、生産性を上げるなどメリットも多くあります。
しかし、遺伝子組み換え食品の安全性や生態系を破壊することを心配する声もあります。
輸入する遺伝子組み換え食品の安全性はチェックされていますが、遺伝子組み換えではない食用油を使いたい時にはキャノーラ油は避けたほうがいいでしょう。
菜種油が体に悪いと言われる原因は?
菜種油は体に悪いと言われることがあります。
その原因は何でしょうか?
- 遺伝子組み換えの表示義務がない
カナダの菜種は遺伝子組み換えで作られていることがほとんどですが、日本では菜種油の原料は主にカナダから輸入しています。
食用油には遺伝子組み換えの表示義務がないため、遺伝子組み換え菜種を使用していたとしてもわからないことがあります。
義務はありませんが、メーカーによっては「遺伝子組み換え不使用」や、「遺伝子組み換え不分別」と表記していることもあります。
遺伝子組み換え食品を避けたい人は、商品情報を細かくチェックしてみましょう。
- トランス脂肪酸を多く含んでいる
トランス脂肪酸を多く摂りすぎると心疾患のリスクを高めるなど、健康に悪影響を与えると言われています。
食用での使用が安全ではないということから、米食品医薬品局(FDA)は2018年の6月以降から食品に添加することを禁止しています。
世界保健機関(WHO)の基準値を下回っていることから、日本では通常の食生活であればそれほど問題ないと考えられ、規制はされていません。
食用油を作る過程では、加工方法によってトランス脂肪酸が生成される場合があります。
サラダ油やキャノーラ油などの菜種を使った食用油は、トランス脂肪酸が含まれている傾向があるので注意しましょう。
- エルカ酸を含んでいる
エルカ酸は過剰摂取すると、心臓障害など引き起こすリスクが高くなるといわれています。
もともと菜種にはエルカ酸が多く含まれていて、国産の菜種にもエルカ酸が含まれていたことが、菜種油が体に悪いといわれる原因のひとつかもしれません。
現在の日本での菜種生産量は非常に少ないですが、キャノーラ油と同じようにエルカ酸とグルコシノレートをほとんど含まないように作られたダブルロー品種や、エルシン酸フリーの品種が開発されています。
国産の菜種油を選ぶ時には品種もチェックしてみるといいですね。
おすすめできる菜種油の定義は?
安心できる菜種油を選ぶ時のポイントを紹介します。
遺伝子組み換えでない国産菜種使用
遺伝子組み換え作物に不安がある人は、遺伝子組み換えではない国産菜種を使用した菜種油がおすすめです。
国産菜種は希少なため価格が高いこともありますが、製法にこだわりを持って作られていることから、安全性も高い商品が揃っています。
日常的に使う食用油だからこそ品質を重視しましょう。
昔ながらの圧搾や低温圧搾で搾ったもの
菜種油を作るときには、圧搾法や溶剤抽出法によって油分を取り出します。
圧搾だけでは絞り出せる油分が少なく手間もかかることから、溶剤を使って手早く多くの油分を抽出するのが溶剤抽出法です。
工程の中で高温圧搾したり薬剤を使用するため、自然な菜種油を使いたい時は昔ながらの圧搾法で作られたものを選びましょう。
また、栄養成分や風味が残りやすい低温圧搾法の商品もおすすめです。
無精製で化学薬品無添加の製品
添加物や化学薬品などが入っていない無精製の製品は、菜種本来の風味や旨味が残っています。
赤みのある色をしているのが特徴で、天ぷらや唐揚げなど揚げ油に使うとパリッと揚がり、菜種独特の香りも楽しめます。
好みはありますが、揚げ油や炒め物だけでなく、ドレッシングにしたり、クッキーやケーキなどいろいろなレシピにも使えますよ。
高品質の菜種油なら生活習慣病予防効果も
菜種油に含まれている脂肪酸には生活習慣予防効果も期待できます。
リノール酸(オメガ6)の効果
体内で合成できないため、食べ物から接種することが必要な必須脂肪酸です。
血中のコレステロールを下げる働きがあることから、生活習慣病予防につながるといわれています。
ただし、過剰摂取すると善玉コレステロールまで低下させてしまうため、適量を摂取することが大切です。
オレイン酸(オメガ9)の効果
オレイン酸が主成分の食用油はオリーブオイルが有名ですが、菜種油にもオレイン酸が豊富に含まれています。
体内で合成できることから食品で多く摂取する必要はありませんが、善玉コレステロールを減らさずに、悪玉コレステロールだけを減らす働きがあるため、生活習慣病予防に役立てることができます。
摂りすぎは肥満の原因になるため、適度に摂取しましょう。
α-リノレン酸(オメガ3)の効果
α-リノレン酸はリノール酸と同じく体内にで作れないことから、必須脂肪酸になっています。
α-リノレン酸は体内でEPAやDHAに変化し、動脈硬化などの生活習慣病を予防する効果が期待できます。
現代人に不足しがちな脂肪酸なので、それぞれの脂肪酸と合わせてバランス良く摂取しましょう。
国産の安心安全な菜種油で健康的な食生活を
菜種油と言っても、使う品種や製法など商品によっていろいろなものが揃っています。
菜種油が体に悪いと言われる原因には、遺伝子組換えやトランス脂肪酸などがありますが、表示義務や規制もないため、自分でしっかりとチェックすることが大切です。
日本では生産が少なくなった菜種油ですが、製法や使う菜種にこだわって品質の高いものが揃っています。使う頻度の多い油こそ品質にこだわって健康的な食生活を送りましょう。
まとめ
- 菜種油はアブラナ科のセイヨウアブラナの種子から作られたもの
- キャノーラ油はカナダで品種改良してできた菜種を使っている
- 遺伝子組換え・トランス脂肪酸・エルカ酸などが体に悪いと言われる原因
- 遺伝子組み換えしていない国産菜種や製法、無添加にこだわった商品がおすすめ
- 菜種油に含まれるオメガ脂肪酸は生活習慣病予防に効果が期待できる