【スウェーデン式虫歯予防】歯にいい食べ物や歯磨きのコツを徹底解説
人間の歯の数は何本か知っていますか?
上下合わせて28本です。
日本の高齢者の歯のイメージを問われると、多くの人は入れ歯を想像することでしょう。
28本の歯は、年を重ねるごとに抜けていってしまいます。
ある調査によると、65歳では平均18.3本、そして80歳になると平均9本の歯しか残らないという調査結果も出ていいます。
しかし、そんな「高齢者になると入れ歯が必要だ」という日本の常識は、世界では非常識なことなのです。
中には、75歳で残っている歯の数は、なんと平均19.5本という国も存在します。
それは、虫歯予防先進国スウェーデンです。
この記事では、そんなスウェーデンに学ぶ、いつまでも健康な歯を維持する方法を紹介します。
Contents
なぜスウェーデンの人は虫歯が少ない?
虫歯予防において高い実績があるウェーデンでは、どのようなケアがおこなわれているのでしょうか。
高齢になっても自分の歯を健康に保つことのできる、スウェーデンにおける虫歯ケアの実状を紹介します。
国をあげて歯科予防処置に取り組んでいる
実はスウェーデンは、1950年代頃まで日本と同じくらい虫歯のトラブルが多い国でした。
しかし1970年代、スウェーデンのイエテボリ大学で実施された調査で、
虫歯や歯周病などのトラブルを予防するためには、プロによるケアと自分で行うブラッシングなどのケアの両方が重要である
という研究結果が報告され、これを受けて政府は、虫歯治療に対する大胆な医療政策の改革をおこなうことにしたのです。
この改革をおこなうまで、スウェーデンも今の日本と同様に「虫歯になってから治療をおこなう」ということが主流の考え方でした。
それが、今から約50年も前に「虫歯や歯周病は予防できるものである」という新たな方針を打ち出したのです。
19歳以下であればすべての歯科診療代が無料になる
日本の医療制度では、医療費負担が原則3割となっています。
自治体によっては、子供の医療費は無料のところもありますが、歯科治療のひとつである歯列矯正は保険適用外となり、その医療費は高額になります。
しかし、スウェーデンでは19歳までの歯科治療がすべて無料なのです。
虫歯の治療に限らず、定期検診や歯列矯正までも、すべて無料で受けることができます。
大人の虫歯治療は全額自己負担
19歳以下の歯科診療代は無料のスウェーデンですが、一方で大人の虫歯治療はなんと全額自己負担となるのです。
治療の経済的負担が大きいことが、未然に防ぐためのオーラルケアに対する人々の意識の高さに繋がっているのでしょう。
スウェーデン式虫歯予防法から学ぶセルフケアとは?
スウェーデンの人々のように虫歯を予防することで、高齢になっても残る歯の本数が多くなるならば、そのセルフケアの方法を学ばない手はありませんよね。
ここでは、スウェーデンから学ぶセルフケア方法をご紹介します。
デンタルフロスや歯間ブラシを使おう
虫歯の原因菌は糖を栄養源に増殖します。
虫歯ができやすい場所のひとつが、歯と歯のあいだです。
歯と歯のあいだの細い隙間に溜まった歯垢は、歯ブラシでは掻き出すことができません。
そこで、使うのがデンタルフロスや歯間ブラシです。
歯と歯のあいだの隙間が狭い場合はデンタルフロスを、広い場合は歯間ブラシを使います。
隙間が狭いにも関わらず、無理やり歯間ブラシを差し込むと歯茎を傷つけたり、歯の隙間が広がってしまったりと悪影響が発生してしまうので注意が必要です。
フッ素のチカラで歯を守る
フッ素は歯質を強くする効果があります。
そのため歯磨き粉はフッ素入りのものを選ぶと良いでしょう。
キシリトールで歯垢や酸を作らない
食後に分泌される酸や、歯垢を抑えるためにキシリトールを摂取することをおすすめします。
食後にキシリトール入りのガムやタブレットを口にすることで、菌の増殖を防ぎます。
0歳のときから歯ブラシに慣れさせる
スウェーデンでは、まだ歯の生えていない0歳児のときから歯ブラシを口にくわえさせるそうです。
授乳やミルクが終わったあとに、歯ブラシをくわえさせることで、いざ乳歯が生えてときに赤ちゃんがスムーズに歯ブラシを受け入れてくれるというメリットがあります。
定期的な歯科検診を受ける
セルフケアをしっかりおこなうだけでは、まだ不十分です。
歯科衛生士や歯科医による、プロのケアと歯磨きの指導を定期的に受けることで、ようやく予防歯科の意味を成します。
歯垢と歯のカルシウムが反応し石灰化によってできる歯石は、歯科医で処置してもらわねば取り除けません。
自分では完璧に磨いているつもりでも、知らず知らずのうちに出来てしまうのがむし歯なので、定期的に検診してもらうのは重要なことです。
ミュータンス菌の数をチェックしよう
口のなかには300~400種類の細菌が生息しています。
それらをまとめて虫歯菌と呼んでいますが、その中でも虫歯のきっかけを作る菌をミュータンス菌といいます。
歯垢の無い歯の表面はツルツルとしていますが、歯垢のある歯の表面はザラザラとしていませんか?
このザラザラにミュータンス菌は付着し食べ物の糖分を分解することで酸をつくり、歯のエナメル質を溶かしてしまうのです。
エナメル質が溶かされてしまうと、さらに内側にある象牙質が剥き出しとなり、象牙質は菌に弱いため一気に虫歯が進行してしまいます。
歯医者さんでは、このミュータンス菌の数を調べられる検査を行っていますので、自分の虫歯リスクがどれだけ高いのか、調べてみるとよいでしょう。
歯にいい食べ物とは?
歯の健康を維持するために、どのような栄養素が効果的なのか紹介します。
オレンジなどの柑橘類
オレンジなどの柑橘類に多く含まれるビタミンCは、歯茎を健康な状態に保ちます。
ビタミンCが不足すると、歯茎から出血することがあります。
歯茎の健康は歯の健康と密接に関係しているので、オレンジなどの柑橘類を1日1個食べると良いでしょう。
チーズなどの乳製品
歯の主成分はカルシウムです。
チーズなどの乳製品にはカルシウムが多く含まれるので、歯そのものを強くする効果があります。
さくらんぼ
実は、さくらんぼは、虫歯予防に効果的なフッ素を多く含んでいます。
歯の表面にフッ素を塗布する治療もあるほど、とても重要なものです。
フッ素が歯の表面にあることで、虫歯菌の温床となるプラーク(歯垢)が溜まりにくくなります。
サラダ類
口腔環境を良好に保つために唾液はなくてはならないものです。
サラダのようなよく噛める食事をとることで、唾液が出やすくなり、虫歯菌に冒されにくい環境を整えることができます。
虫歯予防に効果的なスウェーデン式歯磨きのコツ
国の方針として「予防歯科」を掲げているスウェーデンでは、どのような歯磨きが行われているのでしょうか。
歯磨きで使われているアイテムを紹介します。
歯磨き粉はフッ素入りを使う
フッ素は歯の表面を滑らかに保ち、虫歯菌の着床を防ぐ効果があります。
歯磨き粉を選ぶときは、フッ素入りかどうかをチェックしてみてください。
歯磨きジェルがおすすめ
歯磨き粉を使って歯磨きをした後、仕上げ磨きとして歯磨きジェルを使うことをおすすめします。
歯磨きジェルは、歯磨き粉ほど爽快感はありませんが、ジェルは適量で口腔内に充満しやすいので、フッ素を効率よく歯に塗布することができます。
歯垢を除去するワンタフトブラシを使う
普通の歯ブラシ1本では、汚れの約60%しか取り除けません。
奥歯の裏側や、詰め物をしている部分などは、普通の歯ブラシだと狭くて届かないからです。
スウェーデンの人たちは、歯間ブラシやデンタルフロスの他に、タフトブラシを使います。
歯ブラシをしても磨き残しがあると、虫歯や歯周病に繋がっていきますが、タフトブラシを使用すると、ピンポイントで奥の狭い部分を磨くことができます。
食後や寝る前にブラッシングとマッサージを行う
食事の後、口の中は酸性に傾き、虫歯が出来やすい環境になってしまいます。
また、寝ている間は唾液の分泌が少なくなるので、細菌が増えやすい状態になっています。
起きたときに、口の中が粘つく感じがするのは、バイオフィルムと呼ばれる細菌の集合体の粘つきなのです。
そのため食後と寝る前の歯ブラシは必要不可欠です。
ブラッシングをする時に、歯茎をマッサージするようにおこなうと歯茎の血行が促進され、歯周病の予防となり一石二鳥です。
スウェーデン式虫歯予防で歯をいつまでも美しく保とう
文化や経済では先進国と言われる日本も、虫歯予防の点においてはスウェーデンをはじめ他の国に遅れを取っていることを理解いただけたでしょうか?
普通の歯ブラシに加え、デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシなどを使用すれば、自宅で虫歯や歯周病を予防することが可能です。
また、歯科医院を受診することは、虫歯治療だけでなく虫歯予防のためでもあります。
「歯が痛くなったとき」だけでなく、定期的に歯科医院を受診するようにしましょう。
このようなセルフケアをおこなっていれば、私たちもスウェーデンの人たちのように、高齢になっても自分の歯を多く残すことができるはずです。
- 歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って歯磨きをする
- タフトブラシとフッ素入りジェルで仕上げ磨きをする
- 食後と寝る前の歯ブラシは必ず行う
- 歯が痛いときだけではなく、定期的に歯医者へ通う